ソテツ皆さんは「ソテツ」をご存知ですか?公園や官公庁、学校、駅前のロータリーなどで目にする、南国の雰囲気を漂わせる常緑低木です。九州南部や沖縄諸島などの温かい地方では自生しており、冬季防寒をする事で本州中部以南でも植栽が可能です。最近では観葉植物としても人気ですので、細長い小葉が集まった羽の様な葉を一度は見たことがあるかもしれません。このソテツ、発熱するって知っていましたか?ソテツの花発熱するのはソテツの「花」です(正式には「球果:Cone」と呼ばれ、潰れたトウモロコシの様な見た目をしています)。種類にもよりすが、ソテツの花は高いものでは外気温より10℃も高い温度になります。最近の研究では、発熱組織の表皮には巨大なミトコンドリアが観察され、非発熱組織に比べて活発に呼吸していることが示されています。このときの呼吸は、動植物で普遍的に見られる呼吸とは異なり、物や一部の菌類、原生動物で見られる「シアン耐性呼吸」です。シアン耐性呼吸により放出されるエネルギーは熱に変換されるため、これがソテツの発熱現象の熱源となっています。受粉効率を求めてそれでは、ソテツの花が発熱する理由は何でしょうか?花の発熱には、揮発性の匂い成分を効率よく飛散させ、花粉の運搬係である昆虫を誘引する役割があると考えられています。また熱源である呼吸の働きは、揮発性の匂い成分の合成にも関与することがわかっています。つまり、虫媒介での受粉効率を求めて独自に進化した結果、ソテツは発熱するようになったと推測されています。イチョウやマツの仲間であるソテツ。奄美地方ではソテツの幹や実は食料として、葉は田畑の肥料として用いられ、古くから人々の暮らしと密接な関わりがありました。ソテツの発熱現象の理解が進めば、寒冷環境下における農作物の成長促進、花における芳香成分の合成や飛散を助ける技術の開発につながると期待されています。ソテツは、熱だけでなく人々の生活を豊かにする可能性を秘めているのです。