【月一小話 植物の小ネタ バックナンバー】

2024年2月

*植物工場の効率化

-赤色と青色のLEDに照らされたレタスはあまり美味しそうに見えないけど、

取れたレタスの質は良い-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「植物工場」での水耕栽培は、土を一切使用せずに植物を育てる方法であり、近年、環境に配慮した持続可能な農業の形態として大きな注目を集めています。水耕栽培は従来の土壌を使用する農業と比べて、水の使用量を大幅に削減することができ、また土壌由来の病害虫の問題も避けることが可能です。さらに、土壌を必要としないため、都市部や生産に不適な地での栽培が可能になり、食料供給の多様化と安定化に寄与するとされています。

 

水耕栽培において、光合成のための光供給はとても重要です。例えば赤色と青色のLED光の組み合わせが、レタスの成長に良いという研究結果があります(文献)。赤色と青色の光の組み合わせを使用したグループでは、レタスの葉の成長が顕著に促進され、葉の色と質感も改善されていることが観察されました。また同LED下では窒素、カリウム、亜鉛などの栄養素がより効率的に吸収されていることが確認されました。特に、窒素は植物の成長に必須の要素ですから、その効率的な吸収はレタスの健全な成長に寄与しているのでしょう。

 

光条件ひとつで、栽培作物の生育が大きく変化します。紹介した例はレタスでしたが、レタスは比較的強い光を求める作物であり、他の植物では異なる光条件(赤青の比率や強度など)が最適かもしれません。それでも、赤色と青色のLEDを組み合わせるのがほとんどの場合で有効そうです。「植物栽培用LED」と販売されている製品の中には赤色と青色のLEDが組み合わさった怪しい色合いのLEDが散見されますが、理にかなったLED構成ということになりますね。

 

現在の植物工場には、車両の生産工場のような効率性が求められています。植物工場を構成する要素はLED(光源)だけでは有りません。水耕液や室温、様々な要素の最適化が低コスト化、効率化につながります。植物の生育を左右する因子に関するさまざまな研究が行われていますので、最適な条件を組み合わせて実証することで収益性のある植物工場を実現することができます。「一家に一工場」なんて未来も想像しています。

 

 

文献:The plant growth, water and electricity consumption, and nutrients uptake are influenced by different light spectra and nutrition of lettuce

 

 

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