【月一小話 植物の小ネタ バックナンバー】

2020年10月

一長一短。焚き火で使用する木材の性質

 

キャンプのメインアクティビティのひとつである、焚き火。じんわり温かくて、なぜだが、ぼーっと眺めていても飽きない美しさがありますよね。みなさんは、焚き火する際に、どのような木材を使っていますか?薪として使う木には大きくわけて2種類、「針葉樹」と「広葉樹」があります。どちらにもメリット・デメリットがあるため、焚き火などを行う際は、両者の特性を理解した上で、使うと効率的に焚き火をすることができます。

 

薪で使用する針葉樹の代表格として、スギやマツ、ヒノキが挙げられ、樹脂(油分)や空気を多く含んでいるために着火性に優れています。針葉樹の組織は、90%以上が仮道管で占められていて、この仮道管は水を根から根幹を通して葉へ送る通路であり、木そのものを支える役目も担っています。構造も非常にシンプルで木目配列も整然としており、密度も低いので、薪割りもしやすく、さらに軽量で、運搬も楽。さらに仮道管を多く含む=空気を多く含みやすい、そして油分を含む。これらの特性より、針葉樹は、焚き火の焚き付け役に向いているのです。しかし、その反面、火持ちが悪く、煙や匂いが多く出るというデメリットもあります。焚き火では、この針葉樹のデメリットを補填する形で広葉樹が活躍します。

 

広葉樹は、コナラやクヌギ、サクラなどが挙げられ、針葉樹に比べて幹の密度が高く火が付きにくいですが、一度火が付くと火持ちが良いのが大きなメリットです。そして油分やヤニも少ないので、煙も少なめです。広葉樹は、針葉樹よりゆっくり育つため、重たく、密度が高いため、火付きは悪いですが、代わりに火持ちは抜群にいいです。

 

このように、お互いの材質特性を相互利用することで、効率的に楽しく、長時間焚き火をすることができるようになります。紅葉が深まっていき、空気も新鮮で虫も徐々に少なくなってくる、このキャンプベストシーズンの時期に、ぜひ焚き火を囲んで友人やご家族などで楽しんでみてはいかがでしょうか?

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